バイオテクノロジー利用技術
バイオテクノロジー利用技術

農業分野への光利用技術に関する研究

バイオテクノロジーを利用した地域産業の振興や高度化を目指し、植物バイオ技術などに関する研究に取組んでいます。

  • 緑色光照射による植物の病害虫防除、生育促進や品質向上に関する研究

    植物に緑色光を夜間に短時間照射することで、営農的にメリットの大きい多様な効果を見出しました。

    1. 病害防除効果(特許第5028407号、特許第5927015号)
    2. 植物の病気に対する抵抗力を高め、予防的に防除効果を発揮します。イチゴ炭そ病、イチゴうどんこ病、トマト灰色かび病、ホウレンソウ立枯病、ナス黒枯病、オオバ斑点病など多くの主要病害で抑制効果を確認しました。また、微生物農薬との併用による養液栽培での相乗効果を明らかにしました。

    3. ハダニ防除効果(特許第5294326号)
    4. ハダニの天敵であるカブリダニ類を誘引する作用により、天敵農薬の定着を促進しハダニ防除が効果的に行えます。

    5. 生育促進効果(特許第5364163号)
    6. 植物の生長に関わる遺伝子のスイッチが入り、植物の生長を促進する植物ホルモンの働きで葉面積の増大や根が活性化し、光合成や養分吸収が促進されます。イチゴやトマトの果菜類は果実肥大、着果促進など増収につながる効果が期待できます。

    7. 品質向上効果(特許第5988420号)
    8. 緑色光が適度なストレスとなり、抵抗性反応の一環で機能性成分(ポリフェノール類、ビタミンC、リコピンなど)や糖を蓄積しやすくすると考えています。糖度の高いイチゴ、高リコピントマトやフェノール含有量の高い葉菜類の生産に役立っています。

    9. 電照効果(特許第 6541231号)
    10. 緑色光は植物の日長反応にも作用することがわかりました。日長が関与する花芽分化や休眠を調節でき、イチゴやオオバでは電照光源としても利用可能です。

  • 光照射による植物の生長・開花調節

    光は農作物の光合成や開花調節などにとって重要な栽培環境要因です。これまでに光波長や照射時間による植物の生育制御に着目し、光合成を促進する明け方電照によるトルコギキョウ、ナス、スイカ、ピーマン等の生育促進や収量、品質向上技術を開発しました。また、病害抑制や生育促進と開花制御効果が得られるキク電照用光源の開発を進めています。
    今後も地域に役立つ農業技術として、さらに効果的な電照方法や光源の開発と適用品目の拡大に取組んでいきます。